高薬理活性医薬品への対応
高薬理活性医薬品とは
高薬理活性医薬品(High高薬理活性Potent Active Pharmaceutical Ingredients, HPAPIs:別名 高薬理活性医薬品)は、微量で強力な薬理効果を発揮する医薬品成分です。高薬理活性医薬品を製造するには、高度な製品品質管理、外部環境への曝露防止、労働安全衛生の徹底が必要になり、通常の医薬品に加えて、工場空調、設備設計、作業員への曝露防止・業務方法の徹底した教育が必要になります。当社では、力価及び毒性が不明の新規化合物や高薬理活性薬品を取り扱うため、これらの対応をしています。

当社の高薬理活性医薬品の定義
高薬理活性薬物は主に、OEL(Occupational Exposure Limits:許容曝露限界)※によって区分される曝露管理レベル(OEB)によって、定義されることが多く、一般的にはOEB4以上の薬物が高薬理活性医薬品といわれます。当社では、その他の観点も加えて下記のように、定義しています。
※ 対象となる物質が空気中に浮遊している雰囲気内で,作業者が1 日当たり8 時間にわたって作業した場合に,ハザード物質の濃度がこの数値以下であれば、ほとんどすべての作業者に健康上の悪影響がみられないと判断される限界の濃度。

高薬理活性医薬品の定義
- OELが8時間加重平均(TWA)として空気1立方メートルあたり10µg以下である活性医薬品成分(API)または中間体<OEB4以上>
- 体重1kgあたり約15µg以下(治療用量1mg以下)でヒトに対する生物学的活性を有する薬理活性成分または中間体
- 選択制が高い(特定の受容体と結合できるか特定の酵素を阻害できる)か、または低用量でがん、突然変異、発育に対する影響または生殖毒性を引き起こす可能性がある薬理活性成分または中間体
- 力価及び毒性が不明の新規化合物<新薬など>
高薬理活性医薬品の製造における対応
当社では高薬理活性医薬品の製造において、リスクに基づいた対応を採用しています。このアプローチにより、製造プロセス全体での安全性と品質を確保しています。
リスクベースアプローチ方法

リスクベースアプローチの概要
- 導入段階アプローチ
高薬理活性薬物の毒性等の情報から曝露管理レベルを設定、原薬の飛散性及び原薬取扱量から曝露度合いを検討し、曝露度合い区分を決定します。ソフトカプセルの工程では、原料を溶液に溶解させれば大きく飛散性が落ちることから、特に秤量工程に注力したアプローチを実施しています。

- 設備導入(封じ込め設備の選定)
原薬の飛散性や取扱量に応じて、適切な封じ込め設備を選定します。例えば、原薬秤量工程が最もリスクが高いため、厳格な封じ込め設備(アイソレーター)を導入しています。アイソレーターはワンパス空調をとしており、その排気は、HEPAフィルターをとおして室外排気としています。さらに、室外に原薬が曝露しないよう作業室は陰圧環境とした上で、環境への空気の廃棄に関しては高機能フィルターにより環境を保護しています。
アイソレーターはOEB6まで取り扱いができることを目的として導入しております。SMEPACに基づいた封じ込め性能評価を実施していますが、ラクトースを模擬薬とした模擬操作による評価で、設備外への曝露量を確認しました。結果として、OEB6レベルまで封じ込め性能を有していることを確認しました。

SMEPACに基づいたアイソレーターの封じ込め性能評価
作業者胸元 | グローブ直近 | バグアウトポート付近 | 装置背面 | パスボックス付近 | サービスポート部 | |
---|---|---|---|---|---|---|
n=1 | N.D. | N.D. | N.D. | N.D. | N.D. | N.D. |
n=2 | N.D. | N.D. | N.D. | N.D. | N.D. | N.D. |
n=3 | N.D. | N.D. | N.D. | N.D. | N.D. | N.D. |

- 継続的アプローチ
高薬理活性医薬品を安定的に生産するために、封じ込め性能や作業環境の汚染状況については、継続的に評価と改善策を実施しています。それには、製造プロセス全体でのリスク評価を継続的に実施し、データの取得・評価・改善することで、交叉汚染の防止や作業者の安全確保を図っています。
安全で高品質な医薬品の提供
当社で、これらのアプローチを継続的に実践することで、創業以来、高薬理活性中心に、着実に経験を積んでいます。今後も、患者様、医療従事者、社員、近隣住民、取引先パートナーにとって安全で安心な製品品質の高薬理活性医薬品を提供し続けます。
医薬品の製剤開発や高薬理活性医薬品の課題を速やかに解決するために、ソフトカプセルという選択肢をご検討ください。
GMP適合性調査 適合実績
日付 | 概要(OEB) |
---|---|
2019.12 | 前立腺肥大治療薬(OEB5) |
2020.05 | AGA治療薬(OEB5) |
2020.06 | 骨粗鬆症治療薬A(OEB6) |
2021.10 | 骨粗鬆症治療薬B(OEB6) |
2022.01 | 脂質異常症治療薬(OEB1) |
2024.04 | 骨粗鬆症治療薬C(OEB6) |
2024.05 | 慢性便秘症治療薬(OEB5) |